先日、ライオンさんのトップのテレビCMに対して、NGOなどが「パーム油を使用しているから環境にやさしい」という表現を使わないように、また、パーム油の原産地情報と環境社会影響を公表するように求めたことを
お伝えしました。
これに対して、ライオンさんは先週の金曜日、4月21日に回答したそうです。その内容は、「植物原料の使用は大気中のCO2増加抑制に貢献する」として、今後も「宣伝活動を続けたい」との旨だったそうで、「パーム油の原産地情報及び環境社会影響を公開すること」については、「マレーシア産」であるという回答だっただけだそうです。
つまり、CMの表現も変えないし、原産地情報も現地での影響も情報開示しない、
両方ともNoという回答です。
詳しくは、こちら。
http://www.gef.or.jp/today/060407_lion_cm.htm#lion_response0421 原料が植物性であれば、石油を原料とする製品に比べればたしかにCO2の発生は削減できそうですが、
洗剤の環境影響はそれだけではないはずです。
はぁ、どうしたものかなぁ...と思っていたら、なんど今度は今日24日の
日経23面にはカラーの全面広告が掲載されていました。相変わらず「環境にはやさしく」です(^^;)
「環境にやさしい」の根拠としては、
・植物原料は循環型資源である
・CO2排出量を74%削減
・分解性の高さ
を挙げています。
たしかに、そういう側面はありますが、それだけで「環境にやさしい」と言い切れるのでしょうか? 実際に現地からは、熱帯林の破壊、生物多様性の損失、農薬や肥料による土壌・河川の汚染、農薬による健康被害、先住民の権利のはく奪、厳しい労働環境、安い賃金、児童労働などなど、様々な問題が報告されているわけですし...
こうした問題に対して、NGOなどはこれまで地道に活動を続けてきました。少ない予算で、なんとか多くの人にこうした問題を伝えよう、理解してもらおうと長い時間をかけて努力を重ねてきたわけです。大企業のお金をかけた広告で、それが一瞬にしてミスリードされるようなことがなければいいのですが...
よく読むと、今回は「産地における自然保護や社会との調和の重要性が増加しています」と、さらりとですが問題の存在を認める表現がありました。そして、「生産国との調和を大切にしたいとの考えから、RSPOへ加入しています。」とあります。
もちろんRSPOに参加したこは評価したいと思いますが、正式に加入したのは3月27日、つまり今回のテレビCMが始まった3月21日の後のことです。おそらく、現状では具体的な活動はなされていないと思われます。ただ、今後はRSPOの「原則と基準」に適合するパームオイルを買い付けるようにしたい旨のことが書かれていますので、それには期待したいところです。
《参考リンク》
■ 菊川怜さんを起用したTVCMを3月21日から放映(3/17)
http://www.lion.co.jp/press/2006037.htm■「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」へ参画(4/5)
http://www.lion.co.jp/press/2006047.htm それにしても、今回の新聞広告... NGOへの要請に対して両方ともNoとにべもない回答の直後なのですが、事情を知らない方がこの広告だけを見たら、非常に環境配慮をしているように読めるのではないでしょうか。この辺が個人的にはどうもすっきりしませんでした。まさか、新聞広告でこのように説明すれば、それで日本の消費者は、ステークホルダーは、信じ込ませられると思っているわけではないのでしょうが... 皆さんはどのように感じられたでしょうか?
ちなみに、地球・人間環境フォーラムでは、当初の要請について、またライオンからの回答について、
コメントや意見を求めているそうです。皆さんも、それぞれの立場からご意見を述べられてはどうでしょうか。ライオンさんの
お客様相談室に直接コンタクトされるという方法もあります。
いずれにしろ、
個人も意見を言わなくては、CSRは進みません。一連のやりとりに対して、皆さんの感じたことを率直に伝えることは、企業とステークホルダーの対話を進めるために有効だと思います。もちろんそうした行動は、持続可能な社会を創るためにも重要です。
今日も長い記事読んでくださって、ありがとうございました。最後まで読んでくださったことに、深く感謝します。
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☔|
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