2009年07月17日

学生社会CMコンテスト

 公共広告機構の広告(社会CM)ってけっこう好きなのですが、今日は学生の方々が創った社会問題CMのご紹介です。

 Social CM Awardと名付けられたこのCMコンテストは、学生の団体が主催し、学生が作って応募するコンテスト。15〜60秒のCMを作って、YouTubeの専用チャンネルから投稿するという、いかにも今風の仕組みも面白いと思います。「”学生らしさ”や”公共性”を大切にするために、協賛をつけません。」という方針も潔いと思います。

 170本余が投稿され、最優秀賞、優秀賞、そして審査員賞が先日7月13日に発表になりました。そして7月26日までは、一般Web投票が行われています。あなたもぜひお気に入りの作品を見つけたら、投票してみてください。

 僕もいくつか作品を見てみました。テーマは自由なので、各人が思い思いに様々な問題をテーマに選んでいます。環境は比較的関心が高いのか、投稿数も多いようです。

 正直に言えば、問題の掘り下げはもう一息かなという気もしますが、表現はなかなかうまいなぁと思うものも多く、様々なメディアを使いこなす世代の登場に、ちょっと期待してしまいます。そして、これだけ多くの学生さんが、自分たちの目線で問題を捉え、表現し、なんとかしようとしていることに、希望も感じます。

■「Social CM Award 2009 全作品集」(YouTube)

 ぜひいろいろと見てみていただきたいと思いますが、以下に僕が気に入ったものをいくつかご紹介しましょう。まず最初はうまいなと思ったものを3つ。

「water」 武蔵野美術大学  高山彰子さん


「脱・過剰包装」 武蔵野美術大学 石川貴之さん


「青い地球」 早稲田大学 福田建二郎さん


で、ユーモアにあふれたものも3つ。
「ダメ人間」 井戸菜三恵さん 名古屋大学


「世界生き物会議」 早稲田大学 市原歌織さん


「ウォシュレット」 多摩美術大学 野口敦さん


 以上はいずれも環境がテーマですが、それ以外の問題を扱っているものもあるので、皆さんご興味があるテーマのものをご覧になって、そして気に入ったものにはぜひ投票してあげてください。

 優秀作品には英語字幕をつけて、世界に発信するそうです。これもYouTubeの特性をうまく使っていますね。

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2008年05月18日

いま止めなければ...

 ついに米国企業も気候変動防止に本気になったようです! アメリカに住む友人が、テレビを観ていたら、サイレンと同時に画面に突然、"STOP GLOBAL WARMING NOW"(今すぐ地球温暖化を防止せよ)という文字が現れたのだと報告してくれました。

 その後にReese'sというチョコレート菓子が登場し、"OR ALL THE REESE'S WILL MELT"(さもないと、REESE'Sは全部融けちゃうよ)との警告が....(^^;)

stopor.jpg
出典:Reese's公式サイト

 Reese'sというのはアメリカ人の大好きなピーナツバター入りのチョコなのだそうで、うーむ、たしかにこれはアメリカ人にとっては大モンダイかもしれません(笑)

 そう言えば、僕がいま食べているフェアトレードの純度が高いチョコも、ここ数日の暖かさでかなり柔らかくなってきました(^^;) 気候変動が進んだら、純度の高いチョコレートはいつも冷蔵ケースで保管しなくてはいけないかもしれません!?

 市民がこれをどう受け止めるかは別として(^^;)、こうしてテレビCMでも気候変動が話題(ネタ?)になれば、少しは関心を持つ人も増えるかもしれませんね。日本でもこんな広告が現れるようになりませんかね。

 ちなみに、このテレビCMをご覧になりたい方は、以下のサイトで、”TV Commercials”をクリックし、画面左のメニューで”GLOBAL WARMING"を選べば、ご覧になれます。
■"Reese's"(Hershey's)

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2006年05月10日

責任ある環境コミュニケーション

 これまで何度か、ライオンさんの洗濯用洗剤「トップ」のCMの裏に潜む問題についてお伝えしました。これに関連して本日5月10日発行の「環境新聞」に、寄稿した記事が掲載されました。

 もちろん特定の企業を非難しようという記事ではなく、このCMの件をきっかけに、「企業は責任ある環境コミュニケーションを」と呼びかけたものです。

 いつもサスラボを読んでくださっている皆さんは、具体的な問題については十分にご理解いただけていると思いますが、環境コミュニケーションという観点からこのことを考えてみるのも、企業と社会の関係を考える上で参考になるのではないかと思い、ご紹介いたします。

 今回の記事は、なぜか今日の主要記事の一つにしていただいているので、以下のリンクからPDFがダウンロードできます。ご興味のある方は、ご一読いただければ幸いです。また、ご意見・ご感想は、このエントリーに対するコメントとしていただけると、嬉しく思います。
■「企業は責任ある環境コミュニケーションを」 

 なお、今回の寄稿は2回にわたるもので、来週はさらに具体的に、企業は何をすべきかについて提言する予定です。

■過去の関連エントリー
またですか、ライオンさん
BDFにご用心!
パーム油は環境に優しいと言わないで

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2006年04月24日

またですか、ライオンさん

 先日、ライオンさんのトップのテレビCMに対して、NGOなどが「パーム油を使用しているから環境にやさしい」という表現を使わないように、また、パーム油の原産地情報と環境社会影響を公表するように求めたことをお伝えしました

 これに対して、ライオンさんは先週の金曜日、4月21日に回答したそうです。その内容は、「植物原料の使用は大気中のCO2増加抑制に貢献する」として、今後も「宣伝活動を続けたい」との旨だったそうで、「パーム油の原産地情報及び環境社会影響を公開すること」については、「マレーシア産」であるという回答だっただけだそうです。

 つまり、CMの表現も変えないし、原産地情報も現地での影響も情報開示しない、両方ともNoという回答です。

 詳しくは、こちら。
 http://www.gef.or.jp/today/060407_lion_cm.htm#lion_response0421

 原料が植物性であれば、石油を原料とする製品に比べればたしかにCO2の発生は削減できそうですが、洗剤の環境影響はそれだけではないはずです。

 はぁ、どうしたものかなぁ...と思っていたら、なんど今度は今日24日の日経23面にはカラーの全面広告が掲載されていました。相変わらず「環境にはやさしく」です(^^;)

「環境にやさしい」の根拠としては、
 ・植物原料は循環型資源である
 ・CO2排出量を74%削減
 ・分解性の高さ
 を挙げています。

 たしかに、そういう側面はありますが、それだけで「環境にやさしい」と言い切れるのでしょうか? 実際に現地からは、熱帯林の破壊、生物多様性の損失、農薬や肥料による土壌・河川の汚染、農薬による健康被害、先住民の権利のはく奪、厳しい労働環境、安い賃金、児童労働などなど、様々な問題が報告されているわけですし... 

 こうした問題に対して、NGOなどはこれまで地道に活動を続けてきました。少ない予算で、なんとか多くの人にこうした問題を伝えよう、理解してもらおうと長い時間をかけて努力を重ねてきたわけです。大企業のお金をかけた広告で、それが一瞬にしてミスリードされるようなことがなければいいのですが...

 よく読むと、今回は「産地における自然保護や社会との調和の重要性が増加しています」と、さらりとですが問題の存在を認める表現がありました。そして、「生産国との調和を大切にしたいとの考えから、RSPOへ加入しています。」とあります。

 もちろんRSPOに参加したこは評価したいと思いますが、正式に加入したのは3月27日、つまり今回のテレビCMが始まった3月21日の後のことです。おそらく、現状では具体的な活動はなされていないと思われます。ただ、今後はRSPOの「原則と基準」に適合するパームオイルを買い付けるようにしたい旨のことが書かれていますので、それには期待したいところです。

《参考リンク》
■ 菊川怜さんを起用したTVCMを3月21日から放映(3/17)
http://www.lion.co.jp/press/2006037.htm
■「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」へ参画(4/5)
http://www.lion.co.jp/press/2006047.htm

 それにしても、今回の新聞広告... NGOへの要請に対して両方ともNoとにべもない回答の直後なのですが、事情を知らない方がこの広告だけを見たら、非常に環境配慮をしているように読めるのではないでしょうか。この辺が個人的にはどうもすっきりしませんでした。まさか、新聞広告でこのように説明すれば、それで日本の消費者は、ステークホルダーは、信じ込ませられると思っているわけではないのでしょうが... 皆さんはどのように感じられたでしょうか?

 ちなみに、地球・人間環境フォーラムでは、当初の要請について、またライオンからの回答について、コメントや意見を求めているそうです。皆さんも、それぞれの立場からご意見を述べられてはどうでしょうか。ライオンさんのお客様相談室に直接コンタクトされるという方法もあります。

 いずれにしろ、個人も意見を言わなくては、CSRは進みません。一連のやりとりに対して、皆さんの感じたことを率直に伝えることは、企業とステークホルダーの対話を進めるために有効だと思います。もちろんそうした行動は、持続可能な社会を創るためにも重要です。


今日も長い記事読んでくださって、ありがとうございました。最後まで読んでくださったことに、深く感謝します。
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2006年04月11日

「パーム油は環境に優しいと言わないで」

 先週、インドネシアのスマトラでは、オイルパームのプランテーション開発などのために熱帯林が今なお伐採されており、住み処を失ったゾウは里に出てきて村人たちと軋轢を起こし、双方が死傷するという痛ましい悲劇が生じていることを紹介しました。(「誰がゾウを殺したのか?」参照)

 にも関わらず、こうしたプランテーションや森林伐採の後に作られた産業植林を利用し、「植物性の環境にやさしい原料を使用する洗剤」や、「持続可能な紙パルプ資源のための植林」と宣伝する企業もあります。

 こうしたCMの一例に、3月後半からライオンさんの新「トップ」に関するものがあります。CMは、以下のURLからも見ることができます。
 ■ライオンTVCM
 http://www.lion.co.jp/ja/seihin/tvcm/irui/
 ■新トップ(上記のwebの中のコンテンツです)
 http://www.lion.co.jp/ja/seihin/tvcm/irui/01.htm

 ご覧のようにこのCMでは、「トップは生まれ変わりました。洗浄力が高く、環境にやさしい、植物原料の洗剤できました。」と菊川怜さんが語っており、これを見た一般の方は皆さん、「環境にやさしい洗剤」なのだと信じて新トップを使うのではないのでしょうか。画面に映された広大なプランテーションも、見ようによっては豊かな緑に見えるかもしれません。おそらく菊川怜さん自身、まさか自分が宣伝している洗剤の影に、さまざまな環境破壊、社会問題が存在しているとは想像もしていないのではないでしょうか。

 これに対して、いくつかのNGOや個人が先週の金曜日、同社に対し、「新トップ」の CMは「パーム油=環境にやさしい」という誤解を消費者に与えるので、「パーム油を使用しているから環境にやさしい」という表現を使わないように、また、パーム油の原産地情報と環境社会影響を公表するように求めました。

 ■地球・人間環境フォーラムのリリース
 http://www.gef.or.jp/today/060407_lion_cm.htm
 ■FoE Japan
 http://www.foejapan.org/

img_index_palm.jpg 
 写真:FoE JapanのWebサイトから

 パームオイルは現状ではまだ持続可能な生物資源ではなく、逆に地元の環境や社会への悪影響も大きいことは、日本の消費者としても見逃せない問題です。そして、そのことを伏せて、他の環境面についての性質だけ取り上げるのは、日本を代表する洗剤メーカーとしてはいかがなものかと思いますが、皆さんはCMをご覧になってどのような感想を持たれたでしょうか? こうしたNGOの動きを報道した毎日新聞の記事によれば、同社は今月中に回答したいとのことです。業界をリードする企業として、ぜひとも責任ある回答と対応をしてくださることを期待したいところです。対応を誤れば、環境だけでなく、CSR的にも大きな問題になり兼ねないことです。サスラボでも、今後の動きをしっかりウオッチしたいと思います。


今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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2005年09月29日

「日本の木を伐り続けます。」

というのは、9/26の日経新聞に掲載の住友林業の全面広告の見出しです。(正確には「住友林業は、」で始まります。)

 木を伐(き)り続けますというのはちょっと挑発的な表現ですが、要は国産材を使うことが、日本の森をきちんと管理することにつながる。住宅建材として国産材を積極的に使い、地域社会も活性化し、森が豊かな国を残しますという、そういう主張です。キャッチとしては、面白いですよね。

 国産材が使われない結果、日本の森が荒れてしまっているというは事実です。その意味で、国産材の消費を増やそうとする取り組みにも賛成します。ただし、です、僕はこの広告には、いくつかの点で違和感を感じました。

 その一つは、国産材を積極的に使っていますといいながら、具体的な数値を出していないところ。しばらく前の同社の環境報告書には数値が出ていて、たしかに増加傾向は示していました。それえも、やはりまだ外材の方が多かったと思います。気になって今ウェブサイトを確認したのですが、その数字はすぐには見つかりませんでした。

 また、持続可能な森林にするためには、単に国産材を使うだけではなく、住宅を長寿命化し、また廃材を活用するシステム作りも必要です。特に住宅を長寿命化することは、少なくとも短期的には住宅メーカーの利益と相反します。そのことはどう考えているのでしょうか? これもその広告の中とは言いませんが、ウエブあたりでは説明してもらいたいところです。

 また、木の家を建てることは、CO2を固定させた状態に保つこと。だから、「木の家をつくることは、街に森を作ることと同じ」と主張しています。んん、これは本当かなぁ? たしかにCO2を固定しておくということは事実ですが、木の家を作ることは、森のもつ非常に多くの多面的機能のうち、CO2を固定しておくという部分しか代替していません。とても森をつくることと同じとはいえないと思うのですが....

 個人的には、住友林業はまじめな会社だと思いますし、評価する会社の一つです。ウエブの環境広告ギャラリーには、おもしろい作品がいろいろあります。そうした過去の良い広告に比べると、今回の広告はちょっとイメージに走り過ぎているように感じました。皆さんはどうですか? もしまだ26日の新聞が残っていたら、ちょっと見てみてください。広告に関する意見・感想もウエブサイトで募集しているそうです。


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posted by あだなお。 at 00:57| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(3) | 環境広告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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