カンクンでのCOP16は国際合意を得ることの難しさをまた一つ見せつけましたが、だからと言ってCOP17まで待っている必要はありません。
世界の先進企業はもうとっくに走り始めています。そんな先進企業の動きが、今回のCOP16関連でもっとも衝撃を受けたニュースでした。(日本政府の「
いかなる数値目標にも署名しない」発言も衝撃的でしたが(笑))
カンクンでCOP16が始まった11月29日、パリでは消費財フォーラム(
The Consumer Goods Forum(CGF))が気候変動防止のために、二つの重要なイニシアティブを発表しました。一つは、
2020年までに開発による森林破壊をネットゼロにする誓約。もう一つは、温室効果の高い冷媒である
ハイドロフルオロカーボン (HFC)の使用を段階的に廃止する誓約です。特に前半の森林破壊をネットゼロにすることは、生物多様性の保全のためにも大きな効果がありますので注目されます。
CGFとは、2009年に結成された世界70ヶ国の小売業、消費財メーカー、サービスプロバイダーなど650社以上のCEOや経営層400名からなる企業人のネットワークです。全企業の売上を合計すると、2兆1千億ユーロにもなります。
実は日本企業も多数名前を連ねているようで、メンバーリストを検索すると、40以上の有名企業などの名前がずらりと並んでいます。
《参国リンク》
会員リストの中の日本企業 これらの企業もこのイニシアティブに参加しているようであれば大変心強いのですが、今回のプレスリリース(
PDF)には残念ながら日本企業の名前は一つも入っていません。リリースを読むと、今回の決議は理事会によるものですが、この活動は会員各社が個々のイニシアティブとして行い、また、政府やNGOとのパートナーシップについては一緒に活動するとしています。会員企業すべてが参加するというわけではなさそうです。
ちなみに今回この両方のイニシアティブに参加することを宣言したのは以下の企業です。
共同議長 Unilever, Tesco
参加企業 Ahold, Barilla, Carrefour, Coca-Cola, Delhaize, General Mills, Henkel, Johnson & Johnson, Kellogg, Kraft, Kroger, L’Oréal, Metro, Nestlé, Pepsi Co, Procter & Gamble, Sara Lee, S.C. Johnson, Sobeys, Tesco, Unilever, Walmart
いずれも錚々たるグローバル企業です。こうした大企業だからこそできるのだろうと思われる方もいるかもしれませんが、大企業だからこそ、身体も大きく、
舵を取るのは大変なはずです。また、いくつかはの企業は日本でもビジネスをしていますので、当然
日本市場へも影響を与えるでしょう。世界のどこかの地域の
ローカルな事件ではないのです。
ちなみに気になる森林破壊のネットゼロについて、詳しい方法はリリースの中では述べられていませんが、関係がある(問題がある)事例としては、
大豆、パームオイル、牛肉、紙、板となっています。こういう産業において、
もうこれ以上はプランテーション等の開発をしないという決定は、大きなことだと思います。
もう一つ気になるのは、そうした決定で原材料がコストアップになるのではないかという点ですが、それについてもCGFは、
消費者に追加コストを負担してもらうことにはならないだろうと確信しているといいます。なぜなら、持続可能な生産を行うことで、収量が増加し、コストはむしろ低下するからだと述べています。大変な自信であり、また、大変な覚悟だと言えます。
今回のCGFの決定は気候変動の防止のためにももちろん歓迎すべきことですが、先に述べたように生物多様性の保全の観点にも役立ちます。そしてこの決定をした企業は、先の生物多様性条約COP10で決定された
愛知ターゲットの達成に、確実に一歩近づいたと言えるでしょう。
愛知ターゲットをどう達成させるか。日本国内ではまだ本格的な検討は始まっていないようですが、くれぐれも日本企業が遅れをとって不利になったり、また安全な資源を入手することができなくなるなどといったことがないように、日本企業の自主性にも期待したいと思います。
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posted by あだなお。 at 18:02| 東京 ☔|
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