2009年09月08日

まず月に行くと決めたから

 今日は午後から、朝日地球環境フォーラム2009へ。パネル討論の第1会場は、「地球と人間」。その中でまず、テーマ2:「森と水の循環」にパネリスト出演しました。

 「森と水の循環」と題しているものの、パネリストは元琵琶湖研の研究者である嘉田由紀子滋賀県知事、Mr. 生物多様性こと国際自然保護連合(IUCN)主席研究員ジェフリー・マクニーリーさん、そして僕ということで、どう見ても本当のテーマは生物多様性です(笑)。

 実際、コーディネーターの伊藤智章論説委員(朝日新聞)も、生物多様性、あるいは気候変動と生物多様性ということで話を進めていきます。

 元研究者らしく、琵琶湖の生態系やその危機について詳しくお話をなさる嘉田知事や、気候変動と生物多様性の関係、特にそれが途上国で大きな問題をおこすことをマクロな視点から紹介するマクニーリーさん、そして僕は企業の役割についてと、それぞれ少しずつ違う観点から、うまく立体的に話が進んだのではないかと思います。

 そしてどうしても、昨日の「鳩山イニシアティブ」の余韻が残っているらしく、いろいろなところで、いろいろな方が、鳩山代表の25%削減という目標に言及していました。

 実は滋賀県は、2030年に50%減という、鳩山イニシアティブよりはるかにチャレンジングな目標を立てています。鳩山イニシアティブは、世界の主要国が意欲的な目標に合意したらという条件付きの目標ですが、滋賀県はそんな条件など一切なしです。そしてカッコ良かったのは次のセリフです。

 「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか。これは政治の意志の問題です。」

 嘉田知事がよくおっしゃる言葉なのですが、リーダーには、こういう気概を示して欲しいものです。

 テーマ2のパネルディスカッションの後には、今回の協賛企業である王子製紙の副社長さんが「日本の製紙産業と森林」という題で特別講演をなさったのですが... 生物多様性に関する突っ込んだ議論や、こんなカッコイイ発言の後では、ちょっとお気の毒でした(^^;)

 さて、その後のテーマ3は「太陽の時代に向けて」。まさに昨日の鳩山イニシアティブの後にぴったりの話題です。

 ISEPの飯田哲也さんは、自然エネルギー、特に太陽エネルギーは十二分の量があることや、自然エネルギーを系統接続してもそんなに大きな問題がすぐに起きるわけではないことを指摘して、「自然エネルギー100%は『出来るか』ではなく、『いつまで』が問題だ」と言います。ですから、「25%削減なんて『とんでもない』と言う人の方が『とんでもない』」とも。会場は大受けでした。

 また、 もう一人のパネリストである東京都の大野理事(前の地球環境部長)は、良い技術はあるのに、しかもそれほど値段が高いわけではなく、数年で元が取れるにも関わらず事業者がその投資をしようとしない現実を指摘して、「だから良い技術のものが売れるようにするには、私達が規制で後押しする必要がある。」 これもいいですね。これこそ行政の仕事、役割だと思います。

 その後も、飯田節は続いたのですが、僕が大きく頷いたのは、「ノモンハンの頃から、日本のリーダーは、『世界の価値観今何が起きているのかを共有出来ていない』と批判されていた」との指摘です。なぜなのでしょうか? そしてさらに恥ずかしいのは、「加えて、パブリックの精神もない。自分たちがリーダーとしていま何をすべきかという視点がない」という指摘です。残念ながら、これまでは本当でした。

 昨日の鳩山代表のスピーチは、同席していたIPCCのパチャウリ議長も絶賛したそうです。日本にもようやく真っ当なリーダーが現れたのだとすれば本当にいいのですが... 是非そうであることを願いたいと思います。

 ところでちょうど今週、こんなニュースも流れていたのをご存じでしょうか?

 日本は影響が少なくて一安心と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ気にして欲しいのは、貧しい途上国ほど、GHGの排出量が少ないにも関わらず、ほとんど責任はないのに、もっとも影響を受けてしまうということです。

 「「リスクが非常に高い」と判断された28か国のうち、22か国がアフリカ諸国。先進国が多くのCO2を排出しながら「豊かな生活」を続けているせいで、「豊かな生活」を送っていない国が非常に高いリスクにさらされているなんて理不尽だなぁ。」「国内だけで不公平とか言う前に世界の現状を直視しなければなりませんね。」とつぶやいている方がいましたが(@momonicoさん)、まったく同感です。自分たちの利益しか考えない人や企業が、国際社会で信頼を得られるとはとても思えません。

 物理的に不可能な目標ではないのです。今までのやり方をかなり変えなければいけないとしても、達成不可能な目標ではありません。僕はこれはむしろ、持続不可能な石油ベースの文明から、持続可能な生物ベースの文明へとパラダイムシフトするチャンスだと思います。

 このセッション、最後に飯田さんがおっしゃったことも印象的でした。「アポロは、飛行機を改良していたら月に行けたんじゃないんです。まず月に行くと決めたところから始まったんです。」

 社会が急速に転回し始めたことを実感する、なかなか刺激的な午後でした。

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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 気候変動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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