2007年07月02日

どこまで本気か?

 金曜日から日曜日まで、二泊三日の研究会でした。緑麗しい箱根に出かけながらも、朝から夜まで会場に閉じこもっての合宿で、日曜の夕方に帰宅するとドッと疲れが... 知恵熱が出そうです(笑)実際、そのぐらい充実した内容の、あっという間の三日間でした。

 どんな話が印象的だったかなとふり返ってみると、話している方が本気の話は、やはり引き込まれます。本気かどうかはどうやって判断するかですか? それも聞けばわかります。20も30も続けて話を聞けば、これは本気だというのはすぐにわかります。

 もちろんそれは、話がうまいとか下手ではありませんし、ましてや話している方が有名とか、地位が高いとか、そういうことでもありません。それぞれの立場で、本気に、全力で、そのことに取り組んでいるかどうかです。そのことが伝わってくる講演は、ぐいぐいと引き込まれますし、聞いていて本当に勉強になります、頭が下がります。

 たとえば今回もっとも迫力があった講演の一つは、キヤノン電子社長の酒巻久さん。ちょうど風邪を引かれていたそうで、ボソボソとした声で、朴訥とした語り口でした。しかし、内容は実に説得力があります。そもそも、1999年に社長に就任してから出した成果がすごいのです。

 売上の伸びはそれほどでもないのですが、経常利益率は1.6%から13.5%へと8倍に増加しています。それを達成した要因として、99〜05年で電力消費量を50%減らし、水も47%減らし、スペースに至っては62%も減らしているのです。作業をアウトソースしたり、海外移転したわけではありません。純粋に絶対量で減らしたのです。

 同社のサステナビリティレポートの1ページ目にも書いてありますが、「急ごう さもないと 会社も地球も滅びてしまう」が、同社の環境標語です。これに本気で取り組んでいるのが、酒巻さんの経営なのです。
《参考》
■「環境への取り組み」(キヤノン電子)

 あるいは、西友の執行役SVPで、同社のCSRを推進している小林珠江さんの話も素晴らしいものでした。自分が本気であることはもちろん、トップも本気で環境のことを考えていることを確かめ、会社の本気がお客様にも伝わるように、まずはすべてのアソシエイト(従業員)が本気で考え、実行することから始めているそうです。

 そのための「5万人のサステナビリティ活動」として、すべてのアソシエイトが、
1. マイバッグを使う
2. 自分の仕事の中で「もったいない」を探す
3. 個人できるエコ活動を一つする
 を実行しているそうです。5万人全員が活動したらものすごく大きな力になることはもちろん、それが一人ひとりの心に根付くことで、将来的にさらに巨大なうねりにつながっていく予兆のようなものを感じさせました。

 あるいは、首都大学東京の奥真美先生が紹介した、ロンドンのロード・プライシングの話も印象的でした。CO2を450ppmで安定化させるために、ロンドンは1990年比で2025年までにCO2排出量を60%(!)減らすと宣言し(ちなみにイギリス全土は2000年比なので、これを上回る計画です)、そのためにロンドン市長は気候変動行動計画を作り、その一環として中心部へ流入する車に、一日8ポンド(2000円!)の課金を決め、実行したのです。
《参考》
ロンドンの混雑課金(Congestion Charging)制度(東京都)

 もちろん反対の声もありました。メールだけで3万件の苦情が寄せられたそうです。それでも、必要なことはやる。どんなことにも反対する人はいるのです。数年かけてじっくりと話し合いを進め、2003年2月にロード・プライシングを実施したのです。

 人間誰しも変化は嫌います。できない理由を挙げるのも簡単です。しかし、それでは変化には対応できないし、実際私たちはかなり大きく変化しなければ生き残れないところに追い込まれているのです。

 問題はなぜできないかではなく、とにかくやってみること。必要なことはやると決め、決めたからには死にもの狂いで実行し、結果を出すこと。そこまでやれるか、本気かどうかです。そして世の中には、そんな本気を出して、不可能に思えることを実行してしまう方たちがいるのです!

 持続可能な社会を作ることを目指すにあたって、こんなに心強いことはありません。人間は、やろうと思ったことは、実現できることを実証してくれるのですから。

 正直を言うと、こういう話を聞くといつも、勇気づけられると同時に、内心忸怩たるものもあります。本気の方々は、次々に結果をだし、会社を、地域を、世界を実際に変えて行くからです。それに比べて自分はと顧みれば... モノを書いたり、話をしたりはしても、実際の結果を出していないではないか! そう思うと、現場の方にはとても適わないなという気持ちになってしまうのです。

 でも、ちょっと考え方を変えることにしました。事業会社で働いているわけではないし、ましてその経営を任されているわけでもない。だったら、そこで同じ結果を出すことに憧れても、それは単なるないものねだりです。それよりも、生産や経営の現場でがんばっている方や、その成果の中から、これはスゴイ、これは本気だ、これは多くの人で共有する価値がある。そう思える方や成果を本気で選び、本気で伝える。この自分の使命に、今まで以上に本気に取り組もうと。

 「本気であること」は、僕自身が大切に思う価値観の一つなのですが、今回改めその大切さを感じ、それを実行しようと、思いを新たにしました。

長文におつきあいいただき、ありがとうございました。
サスラボは本気でストレートに勝負しますので、応援してくださいね!
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posted by あだなお。 at 06:00| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あだなおさん、はじめて書き込みさせていただきますコンと申します。
「本気であること」は大切ですよね。そういう人に接すると背中からざわざわっと感動します。そういう人たちが増えていって必ず地球灼熱化は止められると思います。(わたしは昨日から地球温暖化を地球灼熱化というようにしました。)
本気の記事、楽しみにしております。
Posted by コン at 2007年07月02日 09:29
あだなお。さんの本気には、いつもあらためて考えるこや学ぶことが多いです。

多くの人と共有したい難しい事柄を分かりやすく平易な言葉で語りかけてくれるサステナ・ラボは本当に稀有な存在だと思います。

WEB上で色々な方が立ちよれる広く開かれた寺小屋のように…人間何の縁でかわるか分かりませんから…専門性が開かれていて気軽に触れられるというのはとても重要だと思います(*^ー^)ノ

何より分かり易い講義をいつも無料で(笑)本当にありがとうございますm(_ _)m
Posted by あいか。。 at 2007年07月03日 09:48
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