2007年07月14日

20年後を考えるために

 今日は、おもにアジア各国から集まった大学生たち向けの講義とワークショップでした。ある企業財団が主催しているもので、毎年約3週間、アジア・オセアニア地区から参加者を募り、日本のことを学んだり、日本の学生と議論したりするという、なかなかすごいプログラムです。財団のご担当の方々は3週間ほとんどつきっきりだそうで、頭が下がります。

 講義で話をしたのはもちろん、サステナビリティについてです。学生さんたちの多くが途上国からの参加者ですから、これ以上の量的な経済発展は難しいと言うのはちょっと酷かとも思ったのですが、現実は直視する必要があります。そしてもちろん、経済発展、特にGDPで測られるような発展がすべてではありません。そしていずれにしろ、持続可能な社会を考えないことには、僕たちは生き延びることすらできないのですから。

 こういう議論になるとえてして「先進国はズルイ」という話になりがちですが、今回参加した学生さんたちは厳しい選抜を経ているだけあって、皆さん優秀かつ礼儀をわきまえているのでしょう。そういう不平不満や対立はなく、建設的な議論に終始しました。

 実際、議論の結果を発表するのを聞いていると、様々な問題の重要な因果関係をしっかりと捉えていて、理解度が高いことがわかります。ただ別の見方をすれば、優等生的な発言や結論に終わっているという印象もあります。

 実は僕は去年も同じプログラムの講師を務めたので、たぶんそうなるんだろうなと予想していました。いくら器用にもっともらしい結論をまとめても、それを実行しなければなんの意味もありません。せっかく持続可能性や環境問題、社会問題について熱心に議論したら、ぜひそれを具体的な活動につなげて欲しいのです。

 そのために今回はちょっとした工夫をしてみました。まず一つは、問題の解決方法を考えるだけでなく、そのために「自分」がどう貢献できるか考え、「こうします」とコミットしてもらうことです。一般論ではなく、誰か他の人がすることではなく、自分の問題にするということです。

 そしてもう一つは、何をするかをまずは長期間で考え、次にごく短期間で考え、さらにその中間の期間で考えるということです。長期の目標であれば、本当に自分のしたいことを、理想的なことを、考えることができます。逆に数ヶ月から1年程度のごく短期間であれば、できることを具体的に考えられますし、それを実現するのもそう難しくないでしょう。抽象的な問題ではなく、現実の問題にできるのです。

 そしてその両者をつなぐものとして、5年とか、10年先までになすべきこと、やりたいことを考える。短期の目標を達成した後にさらに長期目標を達成するためには、いつどんな通過点を通らなければいけないか、そう考えることができるはずです。こういう順番で考えれば、チャレンジングではあるけれど、かなり現実的な中間目標を描けるはずです。この方法、けっこうオススメです。

 今日の最後の発表を聞くと、正直言ってすべてのグループが、すべての学生さんがこちらの意図したことをきちんと受け止めてくれたというわけではなさそうです(^^;)。昨日書いた「聞いたことは忘れる」ではありませんが、一度聞いたぐらいではなかなか理解し、身に付くわけではありません。重要な問題だとはいいながらも、自分自身の問題としては捉えられていない学生さんが多いのです。

 しかし、いくつかのグループからは、「自国に戻ったらこんなことをして、5年後にはこんな仕事をしていて、20年後にはこんな社会を実現しています!」という力強いコミットメントを聞くことができて、とても嬉しくなりました。本当に頑張ってよ!と応援したくなりました。

 今日一日考えたり、議論したり、体験したことを、このうちの何人かは、ときどき思い出してくれたり、実行に移してくれることを願わずにはいられません。しかしその彼ら、彼女たちが最前線で力を発揮するのは、まだ10年、20年先のことです。それまでは、僕たちがもっと頑張らなければとも思いました。まずは、どうすればきちんと伝わるのか、もっと修業が必要ですしね(^^;)。

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posted by あだなお。 at 23:48| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 手法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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